どい医院

私は自分の思う終生期を展開していくために、在宅でのホスピスワークに取り組んで約35年が経過した。そして、生と死のはざまで苦悩する患者さんから多くのことを教えていただいた。ホスピスは、確かに今まで死にゆく場所として認知されてきた。

しかし、死んでいくのは病気だからではなく、人間だから死んでいくのである。ホスピスでは病気の最期を看ているのではあるが、その本質は死にゆく、という人間の自然な姿をみているのでもある。

死は人間には誰にでもいつかは訪れるものであり、それを穏やかに見守っているホスピスは特別な場所ではない。

つまり、ホスピスは地域社会にある一つのコミュニティセンターと考えてもらうことが私の理想である。さらにこれからはホスピスでできる穏やかな死を、いつでもどこでも誰にでもできるように環境を整えていかなくてはならない、と思う。